【担当事件】トラックドライバー(運転手)の残業代請求 具体的事例の就業規則(賃金規程)を解説します。
1 はじめに
具体的事例をもとに解説をした方が伝わりやすいと思いますが、なかなか、そのような解説記事はないように思います。そこで、私が過去に担当したトラックドライバー(運転手)の残業代請求事件について、具体的事例の就業規則(賃金規程)をもとに解説をしたいと思います。
就業規則(賃金規程)おいて労働者が知らないまま労働者に不利なことが記載されている可能性があることについて解説します。
なお、具体的事例の契約書の解説につきましては、【担当事件】トラックドライバー(運転手)の残業代請求 具体的事例の契約書を解説します。その1 (fukuoka-roudou.com)、【担当事件】トラックドライバー(運転手)の残業代請求 具体的事例の契約書を解説します。その2 (fukuoka-roudou.com)、【担当事件】トラックドライバー(運転手)の残業代請求 具体的事例の契約書を解説します。その3 (fukuoka-roudou.com)でしていますので、こちらもご確認ください。
2 給与明細・賃金台帳の内容
給与明細・賃金台帳の内容は以下のとおりでした。
この会社では、対象月の売上額に一定の割合を乗じた金額(上の表の支給合計額)を決めた上で、給与明細における記載については、最低賃金を前提に、基本給、時間外手当、深夜手当、歩合手当等に割り振る記載にしていました。
労働者は、賃金額が売上額に一定の割合を乗じた金額という計算方法であるとは知りませんでした。
労働者は、手取りが30万円くらいになるという説明を受けており、その認識をしていました。
3 就業規則(賃金規程)には労働者が知らなかった内容が記載されていた
就業規則には、営業収入の1~5%の歩合給と記載されていました。このように賃金規程に歩合給の定めがあると、非歩合制に比して法律上残業代はとても低くてOKということになっています。
例えば、月額給与25万円の労働者が、ひと月に1日12時間、月に22日、合計264時間働いたとします。このときのひと月の残業代は、
※月所定労働時間170時間として試算。※最低賃金法は未考慮。
ただし、就業規則(賃金規程)は周知されていないと有効とはいえません。周知とは、労働者が見ようと思えば見られる状況にしておくというものです。もっとも、労働者が実際に見たことまでは必要ではありません。
4 まとめ
会社の賃金に関する説明と就業規則(賃金規程)が一致しているかを確認してください。確認しないと思わぬ不利益が生じる可能性があります。