【トラックドライバー(運転手)】2人乗務の拘束時間のルール、労働時間該当性について説明します。
1 はじめに
【新改善基準告示】トラックドライバーの拘束時間・休息時間、違反の効果について解説します。 (fukuoka-roudou.com)の記事にて、新改善基準告示について説明しましたが、本記事では、トラックドライバー(運転手)の2人乗務の特例について解説をします。
また、2人乗務における同乗者の労働時間の考え方について説明します。
2 新改善基準告示における2人乗務の特例
新改善基準告示では、2人乗務の特例により拘束時間が20~28時間まで延長されます。
①トラック運転者が1台の車両に2人以上乗務する場合(車両に身体を伸ばして休息することができる設備がある場合に限ります。)、最大拘束時間を20時間まで延長されます。
②ただし、
⑴ 設備が下記ア、イのいずれにも該当する車両内ベッド(これに準ずるものでもOK)であり
ア 車両内ベッドは、長さ198cm以上、かつ、幅80cm以上の連続した平面である
イ 車両内ベッドは、クッション材等により走行中の路面等からの衝撃が緩和されるもの
かつ
⑵ 一の運行が終了後、継続11時間以上の休息期間を与えるときは、拘束時間を24時間まで延長されます。
③さらに、車両内ベッドなどにおいて、8時間以上の仮眠時間があれば、拘束時間を28時間まで延長されます。
3 2人乗務における同乗者の労働時間の考え方
助手席同乗のドライバーは運転しない時間でも労働時間に当たるとするのが通達です。
2024年問題に対応するため、一部の定期路線において、運転手甲のほかに交替運転手乙を乗り込ませ、往路は甲が全部運転し、復路は乙が全部運転することとし、運転しない者は助手席において休息し、又は仮眠をするという形態のものが増えているのではないかと思います。
行政通達(法律ではないのですが行政を運用する際のルールであり事実上重要なルールです。)昭33·10·11基収6286号では、「この場合において往路における乙、復路における甲は、労働を提供しない建前となっているので、これらの者の勤務時間は、労働時間とは解し難い点もあるが、又一面当該トラックに乗り込む点において使用者の拘束を受け、また万一事故発生の際には交替運転、或は故障修理等を行うものであり、その意味において一種の手待ち時間或は助手的な勤務として労働時間と解するのが妥当と考えられる。」としています。
行政通達は、法律ではないため裁判所が必ず、上記のルールに沿って判断するわけではないですが、判断する可能性が高いです。
上記の甲や乙の立場の労働者がいらっしゃるのではないでしょうか。寝ることができても身体拘束がされれば自由な時間は無くなります。賃金が支払われないのに自由に使えない時間とならないようにしたいです。