解決事例:退職した会社から競業避止義務違反を理由に多額の損害賠償請求がされたが勝訴的和解により解決した事例
【損害賠償請求】
依頼者:50代・男性
【相談前】
依頼者は、油圧機器の整備などを行う会社に20年以上勤めていましたが、社長の経営の在り方などに疑問を感じたため、退職し、自ら同業の会社を設立しました。
そうしたところ、退職した会社から競業避止義務違反を理由とした多額の損害賠償請求をされました。
【相談後】
当職は、次の点を争いました。
①競業避止義務違反を定めた就業規則が労働者に実質的に周知されていなければ競業避止義務は無効です。そのため、周知がされていないことを争いました。周知がされていないことを証明するため、在職中や退職した多くの労働者と直接会って、就業規則が周知されていなかったという陳述書(証拠)を作成してもらい裁判所に提出しました。
②原告は、依頼者(被告)が取引先(競業先)A社と共謀して原告の利益を減らそうとしているという主張をしていました。当職は,A社を直接訪ね、原告とA社の取引状況、依頼者とA社の取引状況、依頼者とA社が共謀をしたことはないことなどについてA社に陳述書(証拠)を作成してもらい裁判所に提出しました。
③原告は、原告の減収全てについて、依頼者がA社と取引をしたことが原因であると主張して、減収全てを損害と主張していました。当職は、固定費と変動費を分けて考える(固変分解の)必要があり、損害額は極めて制限されていると主張しました。
尋問までしましたが、裁判所からはゼロベース和解が提案され、勝訴的和解で事件が終了しました。
【弁護士からのコメント】
この事件では、とにかく関係者の方から徹底的に聞き取りを行いました。依頼者が誠実な方であったため、多くの方にご協力いただき、有利な証拠を裁判所へ提出することができました。
当職は、現場に行って事実を確認することがとても大切であると考えています。この事件は、現場での多くの聞き取りが勝訴的和解につながったものであると考えています。
弁護士 西野裕貴