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解説

【離職・失業手当・雇用保険】自己都合ではなく特定受給資格者等の会社都合離職だとメリットがあります。

解説

1 はじめに


 「賃金が減額された」「労働時価が長い」「パワハラがある」などの理由で離職を考えることがあると思います。そのときに、「一身上の都合」というかたちで自己都合退職をすると、本来得られるはずだった失業手当(雇用保険の基本手当)等が受給できなくなる可能性があるので注意が必要です。早く、かつ、多く受給できる方法について解説します。

 なお、基本手当についてはハローワークインターネットサービス – 雇用保険手続きのご案内 (mhlw.go.jp)に詳しい解説がありますのでご参照ください。

 

2 特定受給資格者、一部の特定理由離職者に該当しないか検討する


 特定受給資格者と一部の特定理由離職者に該当すれば、失業手当を受給するにあたり、保険加入期間、受給開始時期、給付日数の点において、有利になります。

 特定受給資格者と特定理由離職者に該当するかについては、厚生労働省の03.pdf (mhlw.go.jp)←この資料に詳しく記載されています。

 以下では、私が実務において、取り扱うことが多い特定受給資格者について説明します。以下の番号は上記厚生労働省の資料に記載された番号です。

Ⅰ 「倒産」等により離職した者

倒産(破産、 民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者

③事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者

事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

II 「解雇」等により離職した者

解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者

賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった) ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)

離職の直前3か月間に連続して労働基準法に基づき定める基準に規定する時間(各月45時間)を超える時間外労働が行われたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関か ら指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を 講じなかったため離職した者

⑥事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていな いため離職した者

上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者

⑩事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設 けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)

 

3 被保険期間が離職以前1年間で6か月で足りる


 失業手当(基本手当)の受給資格を得るには、通常、被保険者期間が12か月以上(離職以前2年間) 必要ですが、被保険者期間が12か月以上(離職以前2年間)なくても6か月 (離職以前1年間) れば受給資格を得ることができます。

 そのため、例えば、前職退職後、失業手当を受給した後、就職して、その就職先において6か月勤務し、そこで、パワハラを受け、それを理由に退職をした場合、自己都合退職では、被保険者期間が12か月未満となるため、そもそも失業手当を受給できませんが、特定受給資格者に該当すれば、失業手当(基本手当)を受給し得ることになります。

 

4 受給開始時期が早まる


 自己都合退職の場合には、離職票をハローワークに提出してから、7日間の待機期間に加えて給付制限期間が2か月(令和2年10月1日前は3か月でしたが、その後2か月となっています。)ありますが、特定受給資格者の場合には、7日の待機期間はあるものの、給付制限期間はありません。

 

5 給付日数が増える場合がある


 自己都合退職等の場合と特定受給資格者の場合の失業手当(基本手当)の所定給付日数は以下のとおりです。(下記の図は、ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数 (mhlw.go.jp)より引用)最大で180日分の違いが生じます。

 ⑴ 自己都合退職等の場合

 ⑵ 特定受給資格者の場合

正確な金額は、ハローワークに尋ねていただいた方がいいかと思いますが、大まかな金額は、雇用保険の給付額(失業給付金)の計算 – 高精度計算サイト (casio.jp)←このサイトなどで計算できます。

このサイトを利用して、例えば、下記の条件ですと、下記のとおり、約55万円の差額がでます。

 

6 離職理由が自己都合になっていたら異議を出しましょう


 退職する際に、事業主から下記の離職票-2が交付されます(info_1_e7_01.pdf (mhlw.go.jp)より引用)。

 このうち、右下の部分が重要です。右下の部分を拡大したものが下の画像です。

この画像では、「具体的事情記載欄(事業主用)」のところに「自己都合による退職」と記載されています。特定受給資格者に該当すると主張する場合には、これに異議を申し立てないといけません。異議を出す場合には、「具体的事情記載欄(離職者用)」の部分に、例えば「退職勧奨による会社都合退職」などと記載し、「⑯離職者本人の判断」のところで「事業主が〇を付けた離職理由に異議 有り」と記載する必要があります。

幸せな生活を取り戻しましょう