【労災・精神疾患(うつ病)】時間外労働時間が80時間を超えたら医師の面接指導の申出をしましょう。
1 はじめに
脳血管疾患及び虚血性心疾患等(以下「脳・心臓疾患」という。)の発 症が長時間労働との関連性が強いとする医学的知見を踏まえ、脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対し、事業者は医師による面接指導を行わなければならないこととされています。
長時間労働で心身を壊す前に、医師の力を借りるべきです。そこで、医師面談の要件について解説します。
2 全体像
分かりやすい図(+過重労働201908.indd (mhlw.go.jp)がありましたのでここに載せます。
3 要件
医師の面施指導が必要となるのは、①「休憩時間を除き一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり八十時間を超え」、かつ、②「疲労の蓄積が認められる者」です(以上の要件は、労働安全衛生法52条の2第1項)
重要なポイントとして、③労働者の申出が必要です(同52条の3第1項)。
4 効果
事業主は、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと)を行う義務を負います(法66条の8第1項)。
面接指導における確認事項は、労働安全衛生規則52条の4において、1号:当該労働者の勤務の状況、二号:当該労働者の疲労の蓄積の状況、三号:前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況、と定められています。
そして、重要なのは「事業者は、第一項又は第二項ただし書の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。」(法66条の8第4項)とされていることです。
加えて、重要なのは同第5項において「事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。」とされていることです。
5 まとめ
長時間労働で辛いときには、医師による面接指導の申出をし、医師から会社に対して働者の健康を保持するために必要な措置について意見を言ってもらうようにしましょう。
事業主は専門家の意見には耳を傾けざるを得ないはずです。