【トラックドライバーの賃金】「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」について
1 はじめに
2023(令和5)年11月29日、内閣官房と公正取引委員会は連名で「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針 」(以下「指針」といいます。)」を策定しました(労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針 | 公正取引委員会 (jftc.go.jp))。
「物価は上昇するのに賃金が上がらない」ということが生じていませんか?
会社に賃上げを求めても、「運送代金が上がらないから賃金を上げられない」と言われていませんか?
あなたの会社の経営者が、適切に労務費の適切な転嫁のための価格交渉を行っていないことが賃上げができていない一つの原因になっているかもしれません。
賃上げのために会社ができること、それなのにしていないことが何なのかを確認し、団体交渉に活かしましょう。以下、会社ができることについて説明します。
2 様々な相談窓口があります
会社が労務費を価格に転嫁するために相談できるところとして、下記のところが紹介されています。
福岡県よろず支援拠点(2440fukuoka_CCO.pdf (smrj.go.jp))では、佐野賢一郎チーフコーディネーターがサポートしてくださるようです。
3 労務費の上昇傾向示す資料は最賃や春季労使交渉などの公表資料を用います
特別調査において、 労務費を含めた自社のコスト構造を発注者に開示することにより 、逆に発注者から コストを査定され原価低減を求められる可能性があることを懸念する声が寄せられたようです。
他方で、 特別調査において、労務費上昇分の価格転嫁の交渉に際し、根拠資料を用いずに行い価格転嫁が認められた事例や 、根拠資料として自社の労務費に関する情報を発注者に開示せずに行い価格転嫁が認められた事例は多数みられたとのことです。
こうした現状を踏まえ、仮に発注者との関係で何らかの根拠資料を示す必要がある場合には 、 関係者がその決定プロセスに 関与し、経済の実態が反映されていると考えられる以下のような公表資料を用いるべきとされています。
①都道府県別の最低賃金 やそ の上昇率
②春季労使交渉の妥結額やその上昇率
③国土交通省が公表している公共工事設計労務単価における関連職種の単価やそ の上昇率
④一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃(令和2年国土交通省告示第575号)
⑤厚生労働省が公表している毎月勤労統計調査に掲載されている賃金指数、給与額やその上昇率
⑥総務省が公表している消費者物価指数
⑦ハローワーク (公共職業安定所の求人票や求人情報誌に掲載されている同業他社の賃金)
4 価格交渉のタイミングも重要です
価格交渉のタイミングも重要です。指針では、「発注者の業務の繁忙期など受注者の交渉力が比較的優位なタイミング など の機会を活用して行うこと。」という言及がありました。他にも、「最低賃金の引上げ幅の方向性が判明した後」など、社会的に見て賃上げの必要性が高まっているときに賃上げ交渉をするのが有用でしょう。
5 まとめ
以上の内容を頭に入れて会社と団体交渉をしてみてはどうでしょうか?