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【トラックドライバー、労働者性】業務委託契約であっても労働の実態から労災申請や残業代請求が可能です。

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1 はじめに


 例えば、会社に入社してトラックドライバー(運転手)として従事しようとしていたのに、なぜか個人事業主のように扱われてしまうということがあります。

 会社は労働者を雇うことで、社会保険料、雇用保険料、残業代など多くのお金を払わなければならなくなるため、ときとして、意図的に、トラックドライバー(運転手)を個人事業主のようにして取扱うことがあります。

 このような場合、トラックドライバーは、労働者であると主張して、労災申請をしたり、残業代の請求をしたりできるでしょうか。

※以下で「労働者」とは労働基準法、労働契約法の「労働者」を指して解説をしていきます。

 

2 労働者に当たるかは契約によって決まるのでなく働き方から客観的に決まる


 結論から言えば、労働者に当たるかは、働き方によって客観的に決まります。「業務委託契約」や「請負契約」を締結したからといって労働者ではないということにはなりません。

 労働者に該当するかどうかは以下の要素を考慮して決めることになります。

 特に重要なのは、下の赤字の「諾否の自由がない」「業務遂行上の指揮監督がある」「拘束性がある」の3つです。

000766340.pdf (mhlw.go.jp))より引用

 

3 トラックドライバーに関する具体的判断


 比較的近時、厚生労働省から「労働基準法上の労働者に該当すると判断された事例(貨物軽自動車運送事業の自動車運転者) <2023年12月現在>」(001180980.pdf (mhlw.go.jp))が発表されました。

 この資料では、個人事業主のようなトラックドライバーが労働者と認めらえた事例について3つの事例が紹介されています。

 特筆すべき点について、労働者性の判断基準にそって言及します。

 

1「使用従属性」に関する判断基準
(1)「指揮監督下の労働」であること
ア 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

→仕事の依頼については、本人の希望を聞いた上で個別に調整・決定し、月単位でシフトが組まれる無断欠勤の場合には、契約書において1回当たり1万円の違約金をとられることとされている。

イ 業務遂行上の指揮監督の有無

→荷物の配送コースについては、契約書等において、原則として元請事業者が示したルートに従わなければならない旨が定められている。当日に配送が割り当てられた荷物については、原則として全て配達しなければならないことや、配達先が不在の場合は、当日中に再訪問を行うこと等が契約書等において義務付けられている。また、割り当てられた荷物以外にも、追加で配送を指示される場合がある。
その他、配送時は元請事業者が指定するユニフォームの着用が義務付けられている。
 ⇒ 契約書等において配送時のルールが定められ、原則、当該ルールに基づく配送が義務付けられていることから、業務遂行上の指揮監督ありと判断
ウ 拘束性の有無

→始業・終業時刻の定めはないが、1日の作業時間を12時間以内にすることを前提に、1日当たりの配送を行う荷物量が定められている。
 ⇒ 実態として勤務時間の裁量が低く、拘束性ありと判断

エ 代替性の有無(指揮監督関係を補強する要素)

→契約書等において再委託は禁止されていなかったが、実態として個人情報の保護を理由に第三者への委託は禁止する旨の説明が元請事業者からなされていた。
 ⇒代替性なしと判断

(2)「報酬の労務対償性」があること

→報酬は、1日当たりの日給制(約20,000円)で支払われている。
 ⇒ 報酬が日単位で計算されており、労務対償性ありと判断

2「労働者性」の判断を補強する要素
(1)事業者性の有無

配送に使用する軽自動車は元請事業者からのリースで、リース料は本人が負担している。
(2)専属性の程度

→他社の業務に従事することは、契約上制約されていない。

(3)その他

採用選考過程は一般の労働者と同様、求人情報による募集や面接による選考が行われている。

 

4 おわりに


 労働者に該当するかどうかで、法的な保護は格段に変わります。

 上に示した「諾否の自由がない」「業務遂行上の指揮監督がある」「拘束性がある」の要素を1つでも充たしそうなら、一度、ご相談をいただければと思います。

幸せな生活を取り戻しましょう